ぶるっと体を震わせた。暖炉の前に座っているのに…。 近くにあった毛布を引き寄せ体に巻いた。 温かくなんてならなくて、余計に寒くなった。 目は真っすぐ前にある、パチパチ音を立てて燃える暖炉の炎を見つめて。 談話室の外から聞こえる音に耳をすます。

今は何も聞こえない。

一人ぼっちの深夜の談話室。幽霊が時々通っては不思議そうな顔をする。 何をしているの?と声をかけられる事もある。だけど、私は何も答えない。 あの人を待つためだけに私はこうして身を潜めているのだ。

「、いっ…?」

2時を回ったくらいにふいに声をかけられた。 不覚…、眠気に襲われ足音に気付かなかった。 眠い目を擦りずり落ちていた毛布をひっぱり上げる。 頭を少し振り目を覚ます。 あー…眠たい、けど、寝ちゃだめ。

、またか?」

「おかえりシリウス」

ソファーから振り返ると私が待ち望んでいたシリウスの姿。 苦笑を浮かべながら腰に手をあて立っている。 絵になるなと思いながら溜息をつく。 毎晩毎晩、大変だな、と笑いながらカツカツと音を立てて私のほうへ歩み寄るシリウスは 隣のソファーに座ると私の腰に手を回す。

「何?この手は。」

「いいだろ、別に。」

「私にはそんな事する気が起こらないって言ってたじゃない。発情期の犬っころが盛ってんじゃないわよ。」

シリウスは私が手を払いのけると、寂しそうな顔をして笑う。 何なのよその顔。そんな顔をしないでよ…。 愛しいなんて感情を芽生えさせないでっ…。 私はあなたを好きになりたくないの。
私はあなたの友達でしょう?
「今日はどうしたんだ?」

「え、」

「今日も変な夢を見たのか?」

「あ、うーん…まぁそんなところ。」

私はいつもシリウスの帰りを待っている。 シリウスが遅くなるのはどこがで女の子を抱いているんだって事は分かってる。 だけど、あなたを待っている。だけど、そんな事を言えるはずがなく、 寝れずに起きていたという事にしていたのだ…。 ただ彼を待っていたなんて、口が裂けても言えない。 私は恋人という立場の人間ではないから。 シリウスにとっては、何でもないただの友達なのだから…。

「……っ」

?」

涙が溢れそうになる。彼にとって私はただの『トモダチ』。 ジェームズやリーマスと変わらないのだ…。 悲しいその事実を、受け止めようとするたび涙が零れそうになる…。 顔をふせてただなく私にシリウスがどうしてるなんて解らない。 ただ、変わらずに隣に気配があって、手が触れ合っていて…。 シリウスの体温が伝わってくる。心地よい温もり、だ。 いつも、握りたいと想っているシリウスの手。 でも、私にあなたの手の握る資格はないの。

…」

急にシリウスが私の手を握った。驚いて顔をあげる。 涙で滲んだ世界にシリウスの顔。困ったような、しそうな顔。 愛おしい、彼が…。しばくそのまま見つめ合う。ねぇ、シリウス? あなたは私を一人の女の子して見てくれてるのかしら…。 目で、視線で尋ねる。シリウスは一つ頷いて、私のおでこに一つキスを落とす。


「ずっとみてたら、お前の考えてる事なんかすぐに解るようになっちまったよ…。」


そう笑い今度は唇はキスをした。






目で訴える私の気持ち
(届くなんて思って無かったよ。)