窓辺に寄り、指し示された門の方を眺める。
ギルバートの言った通り、そこには確かに一匹の犬が居て、庭のあちらやこちら、そちらへ行ったり来たりを繰り返していた。戸惑っているらしい。
「誰かに飼われてるのかな、」
「ちょっと待て。……ああ、首輪をしてるみたいだ」
「え。じゃあ、あの子、迷子って事?」


それにしても、ギルバートはどこへ行ったのだろう。
足もとにすり寄る犬の背中を軽く撫でてやりながら、オズは寝台の方を振り返って見て、それから「あ、」なんて、言ってしまった。
「何だよ、ここにいたんじゃないか」


犬の舌がギルバートのくちびるを掠めた時、オズはあからさまな苛立ちを覚え、
「…………。ねぇ、ギル。ここ、傷が付いてるよ」
「え。……ここ、か?」
「違くて、ここだよ。ほら、ちょっとこっち来て」
……してやった。という表情をしていたと思う。
ギルバートの方はといえば、この、ほんの一瞬のうちに、何をされたのかわからなかったらしい。
二回、四回、ゆっくりまばたきを繰り返し、オズのやった指先がくちびるに押し当てられた後で、やっと「……キスされた。」。

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