半ば押し切られる形で腰を折って草花の上に膝をつくと、
オズの胸のあたりに丁度耳もとが押し当たるのがわかって、思わず息を飲んでしまった。オズがくしゅりと微笑む。
「……ね、聞こえる?」
ああ、聞こえる。と返事をする代わりに、オズの指先を握った。
オズはちょっと驚いたような素振りを見せたけれど、そのうち、同じくらいの力で握り返してくる。
その手は夏の生温い風や空気の中にあったはずだというのに、どうしてだろう。
今までずっと水の中に浸していたのかと思うほどにひんやりとしていて、オズの存在を酷く淡いものにしていた。
オズの心音を何と喩えたら良いのか。なんて、数多のことばを知らないギルバートにはとても見当が付かなかった。
けれど、それはきっと不意に入り込んだ教会で賛美歌に耳を傾けているような、そんな慈しみ深い音だったのだ。

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