「ちょっと待った」
と、閉じる扉を手で差し止めて飛び込んでくる。
「センパイちーっす」
「荒船くんちーっす」
いつもの帽子にバッグワーム、イーグレット装備姿の荒船くんだ。
これから防衛任務だろう。
かく言うわたしもこれから、だ。
「あれ、他は?」
「風邪でダウンっす」
「あー、今流行ってるからねー」
「センパイは大丈夫っすか?」
「もうひいた後だね」
「あぁ・・・」
そのやっぱり、っていう顔するのやめてくれないかな。
「そういえば聞きましたよ」
「ん?」
「スナイパーの訓練場、出禁食らったんすね」
「うっ」
なんで知ってんの。
って、スナイパーなら当然か。
「うるせー!」
「フィールド穴だらけでしたよ。なにやってんすか」
「なにもやってない。なにもやってないよ」
「訓練生もビビってたらしいっすよ」
ドン引かれてたのは気づいてる。
出入り禁止にならなかったとしても、自主的に近づくのはやめた方がいい空気だった。
「もう二度と訓練場には足を踏み入れるまい」
「腕鈍りますよ」
「実戦で鍛えるからいいよ」
「そういうことなら」
どうぞ、と荒船くんがイーグレットを寄越してくる。
「使います?」
「任務どうすんの」
「弧月でいきます」
「・・・・え?」
「どうせなんで、今日一緒に組みません?」
帽子の下、いたずらっ子のような目をしている。
「・・・・え?」
2015.01.30