死は
死は、美しき乙女の姿で舞い降りるだろう―――
「俺は・・・千尋を守り抜く!!!」
その為だけに剣を抜いた。
死は、美しき乙女の姿で―――
「千尋には、指一本触れさせん!!!」
その為だけに全てを捧げた。
お前の死も、既定伝承のひとつに過ぎない。
それでも
進むというのなら――
『ひととせ』
――春。
豊葦原の空に桜が舞う。
薄紅色の花びらは、はらはらと風に乗り、春の雪を思わせる美しさだった。
この地に恵みが戻り、君が王となって一年が経った。
舞い散る花びらを髪に付けながら、愛しい君が笑う。
「桜、やっと見れましたね。」
微笑むその姿は何よりも美しく、可憐だった。
桜の木の下で幹に寄りかかり、君と二人肩を並べて座る。
君とふたり。
その微笑みが今自分だけに向けられている事に喜びを感じた。
金色の髪がさらさらと風に揺れ、ふたつの蒼目がキラキラと日の光に当たり輝く。
その蒼目に自分が映る。
それだけで何もかもが幸せだった。
何も言わずただ微笑んでいるだけの俺に、君は笑みを重ねた。
「色々あって一年遅れちゃいましたけど、約束・・・果たせましたね。」
「・・・ああ、そうだな。」
また笑みを重ねる。
涙ぐむ君の姿を、ただじっと見ていた。
「・・・千尋。」
囁くように、君に言葉を贈る。
「俺は君を、愛している。」
「私もです。忍人さん・・・。」
そっと口付けをした。
そのまま君の肩に持たれかかり、体を預ける。
君が俺の髪に頬を寄せるのがわかった。
――君に
「・・・ありがとう。」
最後の言葉を贈る。
視界は徐々に霞んでいき、君の声が遠く感じた。
こぼれ落ちる君の涙が眩しく思えた。
「忍人さん。・・・大好きです。」
君の声が・・・聞こえる。
嗚呼、どうか泣かないでくれ。
「貴方と出会ってからも、この一年間も、幸せでした。いっぱい・・・いっぱ
い、ありがとうございます。」
・・・ありがとう。
俺を愛してくれて、側にいてくれて。
もうその涙を拭うことができない俺を赦してくれ。
「私・・・この国も、自分も、幸せになれるようにしますから・・・」
千尋
「だから・・・だから忍人も、ずっと見守っていて下さいね?」
俺は君の幸せを願い続けよう。
「愛してます。・・・忍人さん。」
――既定伝承は変わらない。
それでも進むというのなら―――
お前に一年(ひととせ)の時を与えよう
君の声は――
鈴の音はもう聞こえない。
それでも俺は、君を愛し続ける。
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真ED捏造です。でも忍人生きてなくてすみません(殴
破魂刀を使い続けた忍人には、「積み重ねた業は変わらない」という発言の通り、たとえ生きられたとしてもそう長くはなかったのではないか。という解釈で書きなぐりました;;;
あの時死ぬはずだった忍人に、破魂刀が一年だけ猶予を与えてくれた・・・なんてあったらいいなという妄想←
結果が同じ死別でも、最期の時は千尋の側で幸せに眠ってほしかったのでこう繋げました。
モドル