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愛されず、嫌われて。そうか。あたしは愛される価値のない人間なのか。と、そう思い続けた。 孤独が好きなわけじゃない。ただ、単純に孤独に縛られているんだと、強く信じていた。 他人と馴れ合い、感情に左右され。開いた傷口を舐めあうなんて、まっぴらごめんだ!って。そう思い込んできた。

そのことが、あたしである証のようなものだった。


でもね、ほんとうは誰からも愛されたかったし、孤独なんて感じないくらいに 楽しくって友達といろんなお喋りして、たまに喧嘩して悩んだり、 一緒に遊びに行って楽しんだりして。やっぱり彼氏とかも欲しい。 その彼のために一生懸命おしゃれに力入れたりしたいの。

あたしは心の奥底で、可愛い女の子になりたかったんだ。

こんなことを考えて、くだらない。と自分自身を罵ってたの。 だけど、いつだったか。貴方が来たの。そしていくつもの愛をくれた。 最初はね、嫌いだった。混乱してたのかも。 でもね、いまじゃあなたの存在が嬉しくてたまらないよ。それと同時に、

憎くて、堪らないよ。



「ありがとうね、恭弥。」

彼の容姿は猫を連想させた。顔つきもそうだし、自由奔放な性格だし、飽きっぽいし。 (あたしも飽きられたらヤダな‥)でも猫背ではない。シャキッてしてる。 そんな彼はきちんと机に向かい仕事をこなしている。 今あたし達が居る応接室は寒くも、暖かくもなく適温だった。 しかも黒皮のソファは見た目よりも柔らかく、寝転がるに最適! 大きな窓には綺麗に桜が咲いているのが見えて、おまけにえっと‥ たしか2年のなんとか君が2年のなんとかちゃんに告白している。 そう、世の中は春なのだ。


「ありがとうって…なんのこと?」

「なんか平和だねー…」

「…なんなの、って」

「人間よ!しかも女の子!」

「あっそ。」

「いやん!冷たいわ、ダーリンっ!」

冷ややかな目で見られても、大丈夫。 平和な春の日は、みんながハッピーになれる日なのだから。 あたしも浮かれている。そうよ、ハイテンション!


「だーいすき」

目を瞑り、手で覆う。心からそう言ったつもり。


「手、どけてよ。」

一瞬ギョッとした。手をどけると、机に向かって書類をかたずけていた彼が 目の前10pの近さにいたのだから。(びっくりでしょ?) 目を瞑って、待つ。ゆっくり顔を近づけキスをくれた。 それはとても軽くて、触れるだけだったけれど、 とても愛されてるってちゃんと伝わったよ。 そっと、彼の綺麗なカタチの頬を撫でる。やはりきれい。

あぁ。あたしの証は、彼に奪われたのだ。


「ありがとうね、恭弥」



(お願い。だから殺させて)
(そしたらあたしも死ぬから。ねぇお願い)