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なーにやってんの

え?ベルか、驚かさないでよね。冷たい雨がさんさんと降っていてブーツが湿る。透明なビニール傘から空を拝むと思っていたとおりの曇天で。驚いたのはこっちだよ。こんな所に来てしゃがみ込んでるんだからさぁ。あーぁ、買ってあげたワンピース泥だらけじゃん。白くて黒の刺繍がたくさん散りばめられているワンピースは雨で濡れて肌に張り付いている。重そう、っていうか下着透けてるし。傘も差さないで、墓参り?そ。あんたのお兄さんの。あぁそういえばそうだね。なにいってんの、こんな大きくて盛大な墓はあんたの家のものでしょうが。めったにないよ、こんな大きい墓。まぁそうか、王族だものね。ふん、俺の骨はここにはいれないよ、あいつと一緒の墓なんて死んでも入らないから。あっそ。(兄貴を殺したのはいつだったっけな?あれは愉しかったなぁ。)んで?なんでここにいるのさ?墓参りだってば。こんな時期に来なくてもいいんじゃない?こんな時期だからこそ、だよ、ベル。だってあたしたち夫婦になるはずだったんだもの。だけど、君が言ったんじゃない。だれも気づかないから、あんたが兄貴になりすまして生きれば罪にならないって。兄貴を殺す現場を、立ちつくして見ていたは、ザクザクザクザク俺が兄貴をただの肉塊に砕いているのを何も言わずに、涙も流さずに、見ていて。そろそろ近寄ってきて俺をそっと抱きしめた。まだぼーっと恍惚状態の頭で、俺はこのとき初めて抱きしめられたなぁなんて片隅で思いながら。そういえばそうだったね。あたしにとって、あんたもあんたのお兄さん・・ベルも、どっちも大事だったんだもん。あんたがベルを嫌いなのは知っていたし、彼もあんたを見下しているのは分かってた。俺は兄貴を嫌いではなかったよ、ただ邪魔だったから、消してみただけ。同じ事よ、ほとんど。まだの中には、あいつが生きてるの?ううん、もう死んだ。ずっと前にね。じゃあもうここには来ないで。今日で最後にして。やっぱり嫌いなんじゃないの。分かってる、もうこんなとこ来ないよ。もうあたしはあんたの女だもんね。そうそ、俺の女だもん。真面目に言われると恥ずかしいな。自分から言ったくせに。

d e   p r o f u n d i s (死者のための祈り)

(1221書き直し あんたも愛してたよ、ベル。けど今はこっちのベルを、愛してるの)