そう武としゃべっていたのはもう10年前の話、ちょうどこの場所で。 学校帰りの夕暮れ、ただの帰り道だったけど私のなかでは、それは立派なデートだった(あぁ青いな)。 ふと思い出されて立ち止まる、あのころ見た夕日と同 じ だ っ た も の だ か ら。

芝生の斜面に座って、凪いでく風を感じて、隣で武は寝っ転がる。 すばらしき青春時代を送っていたんだ。

・・・おっと、買い物袋の中の、今日の晩ご飯がカサリと音を立てたものだから、 私はまた歩を進めた。・・・10年なんて、思っていたより早かった。 学生時代の延長上に私たちは立っていて、変わっていくものは当然あるけど、 私たちの中にはただ漠然とした毎日があって、当たり前にそれを過ごしていったと思う。

一時期イタリアにも行ったけれど、ツナが日本の方が合っていると 我が儘言ってすぐ帰国したし、(私の弟はなんせ、ボスだから。 双子なのに、私は幹部ですら無いけど)武だって獄寺くんだって、いつでも隣にいた。 狭い世界に生きているねって、そう思われても仕方ないけど そんなの痛くも痒くもないですよー!っちゅう話。


「ただいまぁ」
「お帰り、今日の夕飯なに?」

「あんたの好きな、」
「ハンバーグ?やった!」

「残念、カレーよ」
「・・・」

「あ、そうだちゃん、山本のとこに行って書類届けてくれる?」
「・・・・・・・・ーっもう!」

くそう、小さい頃は私の服の裾握ってたくせに!・・こういう所で月日を感じるなんてな。 ひっそりと建つ屋敷に帰ってすぐ、綱吉に迎い入れられた私は 早速仕事を言いつけられてしまった。夕飯の支度だってあるのに! (シェフを雇いたくないって言ったのは私だけどさ)

背丈30センチほどの書類の山を抱えて、武の仕事部屋に向かう。 日の差す廊下はさっき見たオレンジ色に染まっていて眩しい。 目を細めて歩くと、前にもこんなことがあったような気がしてならないから不思議だ、 それってデジャヴって言うのよね。


「武?あけてー」
両手で書類を抱え、腕には買い物袋がかかっている。 そんなんじゃ重い木の扉なんて開けられやしない。おー、今開ける。 向こう側だから少し籠もった声で返事が返ってきた。


「よっ、ごくろうさん!」
手を半端に挙げて、私に挨拶するのなら荷物を持って欲しい。 一瞥すると私は武を無視してずかずかと部屋に入っていった。 後ろでドアの閉まるギギィって音。そして私の目に入ったのは、

「なーにこれ!全然仕事終わってないじゃない!」「いやそんなことねーよ? ほら、あんなにあったのに今じゃ、あと25枚じゃんよ」 「でもまだこれもあるのよ?」「アイタタタ・・・明日じゃ駄目か?」 「だーめ、さっさとやっちゃいなね、夕飯までに」「まじかよー」


ちぇー、とぼやきながら椅子に座った武の頭をなでてやる。 小さい頃は綱吉はこれが好きだったなぁ。 「がんばって」おでこに軽くキスすると武はにやっと笑って 「今のでスゲーやる気でた!」なんて言う。(かわいいやつ!)

早く夕飯の支度しなきゃなんだけど、このままこの部屋にいたかった。 すぐ脇の窓の、カーテンを閉めようとしたけど、窓辺から身を乗り出して、 中庭を眺めた。緑色の芝生はプロの庭師が整えてくれている。 こんなところで、あれ、やりたいなぁ・・・。


「武、これが終わったら野球やろう?みんな呼んでさ」 「まじ?よっしゃ、俄然やる気でたぜ」「まだまだ子供ねー」 「おいおい、からいいだしたんだぜ?」



「そーだね、まだまだ子供だね」


(まだ、大丈夫よ。わたしたちが子供のこころを忘れるには早いわ。)



「私、カーブ投げれるんだからね!」
「それぜってー打つ!」


Ten years later様に提出!
(0821 みつき)
楽しかったです、ありがとう!
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