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いつも、振り向けば君がいる―


卒業式前日。もう桜の季節だった。
ついこないだまで学校では大学受験戦争が勃発して、みんなピリピリしていたのに。
ツナは就職組だから気楽でいいよな〜なんて言われたものだ。
しかしお前、俺なんて高校を卒業したらすぐにイタリアに発つ事が約束されているんだぞ!
マフィアのボスになるのが気楽なもんか!
殺し屋なんておっかない連中の頭なんだぞ!
そんなことを18歳の少年(同い年だが)に言えるわけもなく、
そうだね、受験頑張れよと言ってきた。
俺だって頭を悩ませる種をいっぱい持っているってのにさ!
その種のほとんどが俺のイタリア行きの話で、その種のうちの4分の3がのことだった。

(言うべきじゃないんだ。分かってる、
好きっていう気持ちだけでホイホイ連れてこれるような場所じゃないんだもんな。
ヨーロッパだし、イタリアだし、マフィアだし、ボンゴレだし、あ゙ー!)


「気楽なわけないよ〜」

歩道橋の階段を上りながら溜め息をついた。
溜め息をつくと幸せが逃げるっていうけど、全部逃げ切ってしまったらのせいだ。
カツカツ、天辺まで上りきると、足下の花びらに気が付いた。
それはそれは薄いピンクのかわいい花びら。


「さくら、かぁ」

柵の上で腕を組み、顎をそれに乗せた。道路の両脇には立派な桜がある。
綺麗だな、イタリアに桜はあまりないだろうから、
もしかしたら春に桜を見れることももうほとんど無いのかも・・・。


「よっ!」

「うわっ」
突然肩に手を置かれびびっている自分がいた。なさけなー・・・。


!驚かすなよ!」

「ごめんごめん、そんなに驚くような事じゃ無いと思ったからさぁ。
それより、なにやってんの?こんなところで死んだような目しちゃって」

「あ、いや・・。え!俺そんな目してたの?!」

(今はケラケラと笑っている。俺が出発するときには笑って手を振るなんてしないだろうな。
そんなことしてくれない方が楽かもな。そもそも教えないから別れなんて無いかもしれない。
…俺は楽でも、は?つらい?かなしい?泣、く?)



「‥、」

「ん?なにさ、あらたまっちゃって」

「俺さ、卒業したらイタリア行くつもりなんだ」


強い風がふいた。桜吹雪、その中に君は立っている。





(0403@みつき)
桜の季節は卒業式より入学式のころだと思うけど、そこはご愛敬^^;