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夜、九時。最近のテレビ番組はつまらないからみない。けれどご飯食べてすぐに勉強ってのはもっとつまらないから、一応机には向かうけど、勉強なんてしない。気が向いたら、ね。だって勉強なんて嫌いだもん。今どきの女の子ってこんな時になにしてるんだろ?テレビ見てネットして携帯いじってメールして…?すごいすごい!同い年なのにわたしはそんなこと分からない。しけてるな、自分。でもいっちょ前に彼氏だっていたんだよぅ!ここぞとばかりにほっぺた膨らましてみましたけどぜんぜん可愛くなかった。ま、それは置いといて。彼氏ってのはね、それはそれは私に勿体ないくらい素敵な人だったんだ。ちなみに今はどこかに生きてる。要するに、どこか私の見知らぬ土地で息すってるってこと!彼はね、骸っていう人だったんだけど、あ人じゃないかもしれない、悪魔かも。まぁそんな物騒な名前の男の子、骸はね、なんだかとても不思議なひとでロマンチストで暴力的でかわいくて寂しがり屋さんなの。私はひとりきりになってからこころの中が空になる音を聞いたの。それと満たされる音も。そんな日はいつもね、骸と見た夜の星たちと月を思い出すのよ。ベッド抜け出して裸足に華奢なミュールつっかけて、骸っ!て名前を呼んだらにこって彼は笑う。そしたら乾いた皮膚がね、一瞬で魚の鱗みたい、みずみずしくなってって。腕くんで私は骸にしがみつく。「どこいくつもり?」「君となら行き先なんていりませんよ」ね、ロマンチストでしょ?骸にエスコートされて私たちは小高い丘にのぼって星をみたの。きらきら、きらきら。瞬くほしもおとなしいほしも。きらきら。なんて綺麗なんだろうって思ってわたしはただただ嬉しくてこころがはちきれそうだった。「骸、すごいね。綺麗だね」骸はまた、わらうの。そのうち体が冷えてブルッと身震いしたら、そっと骸は着ていた上着を私にかけてくれて「風邪引くと困りますから」って言って。その上着は温かくって、いま私がかけてるぬくぬくブランケットの温かさと同じなの。そう、温かい、骸の上着―…。


ふと我に帰った私は肩にかけていたブランケットが床に落ちているのに気が付いた。やだ、だから少し寒かったんだわ。そして窓が開いているのにも気づいて、これなら寒いのなんて当たり前だと思った。まず窓を閉める。冬の匂いがそっと香った。ブランケットを拾ってまた肩にかけるとあの温もりを思い出す。

骸、骸骸骸。 骸!
いまどこにいるのさ、私のこと覚えてたら連絡寄越しなさい!



(0301@みつき)