「おーい!」



眩しいなぁ、眩しいっすよ。なにがってそりゃあ太陽!じゃなくて彼の笑顔がですよ。しかもここはプールで、水の反射がきらきらしてる。ヤツは楽しそうにプールの淵でちゃぷちゃぷやっていて、なんだかかわいい。山本が"夏の少年"ってタイトルの絵みたいに私の目に映った。(だってほら、彼って夏が似合うじゃない)背中を曲げて、じりじりに焼かれたプールサイドに手をつくとやばいぐらい高熱で、さらに太陽光のせいで目眩がする。

「山本、早く温度測って」
「あぁ、悪い!忘れてた」

そう、私たちは日直で、次の体育の時間で使うプールの温度を測りに来たんだ。何度か以下だとプールに入れないみたいだけど、この天気なら測らなくても余裕でオーケーだろう。(体育の鎌田はうるさいからちゃんと測るけど!)私は山本には悪いけど、日陰で休んでいることにした。

「おーい!」

シャツの第3ボタンまで開けてパタパタやるものの涼しくならないな。すると山本が呼ぶ声。



「なぁに?」

ふと顔を上げて彼を見る。…ぎょっとした。はははっ、なんて爽やかに笑う少年は制服のままプールの中にいたのだ。身体に張り付く白いシャツが綺麗。


「落ちた!」
「うそ、音しなかったわよ?!」

「あははバレたか、ほんとはちょっと入ってみたくてな、つい。」
「ばか、制服どうすんのさー」

「んー、乾かせばいいだろ」
「…へぇ。」



「なぁ、ちょっとこっちこいよ!」
「やだ溶けちゃうもん」

「溶けやしねぇよ!」
「溶けたら山本が掃除してよね」

「そりゃ勘弁」


つん、と黙っていると山本はヨッと掛け声を掛けてプールサイドに上がる。ピチャ、滴が垂れる。



「溶かしてやろっか」
「は?」

山本の濡れた手が熱く感じる、腕をぐんと引っ張られた。日陰から出た私は真上の太陽に捕らえられたような気持ちになる。

(あ…そうだ、山本が太陽みたいだからかな?)


引きずられプールの淵にたつ。腕を握られていたのに、いつの間にか山本の手は私の手を握っていたのにやっと気付いた。



「山本…?」
「いっせーの…せっ!」

「え?!わわっ」


ドボーン!派手な音を発ててプールにお ち た !髪の毛がぶわっと逆立つ。真っ青な世界で、私は隣の山本を見る。目が少し痛い。青白く映る彼はまだ手を握っている。ぶくぶくっ、息を吐き出して青い床を蹴った。



「「ぶはぁ!」」

「ちょっと!何すんのよ!」
「でも気持ち良いだろ?」

「そんなことよりさぁ!…まぁいっか」
「あれ、チャイム鳴ってない?」

「あ!着替え!てかみんな来ちゃうじゃん」
「温度は?」

「え、山本に頼んだでしょ」
「悪い、忘れてた」

「ばかー!」








(もっと続いてもいいと思った。いや続いてて欲しかった)

0804 みつき
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