アリババが花札で白龍にこてんぱんに負けたのが一ヶ月前。あれから、修行に修行を重ねたという馬鹿な青年が此方です。
「白龍、勝負だ!」
「花札ですか?あれは俺の国の文化ですから、あなたは不利じゃないかと」
半分余裕綽々な白龍の言葉に顔を引きつらせつつも、アリババはカードを机に叩き付けた。
「そう、不利だから、今回は公平にトランプでどうだ。俺の国にもトランプは無いぞ」
ちらりと白龍はアリババを見上げる。アリババはぐっと顔を寄せて、口角を引き上げた。
「種目は」
「ババ抜きだ」
「冗談のつもりですか、アリ殿」
溜息混じりの白龍の台詞に、慌てた様にアリババはぶんぶんとかぶりを振った。
「いや、深い意味は無いぞ!アリ殿って酷いなお前!」
「まあ良いとして」
アリババの手にあるトランプを取ると、慣れた手つきでカードを切っていく。アリババは唇を引き結ぶと、椅子を引いた。
「これで勝った奴が、」
白龍はカードを配る手を止める。アリババは触れるだけのキスをして、「今夜の攻めだ」と笑った。
配り終わった手札を返して、白龍はくつりと不敵な笑みを浮かべた。
「良いですよ」
アリババは目を細めて心意を図る。絡み合う視線、白龍は最後の二枚までのダブルカードを机に投げ捨てた。アリババの手札には、ジョーカーは無い。
「あなたからどうぞ?」
引き当てたカードに、アリババは片頬を歪めた。
「…お前な」
嘲笑う道化師がカードの中で踊る。
「さあ、俺にも引かせてください」
散々、この後遊んであげます、と言って、白龍は最後の一枚の手札を放り投げた。