ベッドに転がしたままの彼女はそろそろ目覚めたのだろうか。アリババは別に悪かったなんて思っていない。それくらいに白龍が欲しかった。
白龍の、全部だ。
リリィドール
白龍はアリババの一つ下の後輩で、寮の同じ部屋に暮らしていた。お嬢様で世間のこととか、爛れた世の中を何も知らなくて、いつもアリババに親切だ。彼女の家のせいで確かに今の爛れた生活に踏み込んでしまったのは事実だが、彼女の本質を知ってしまうと憎む気になどなれないし、今の生活を作ってしまったのは紛れもなく自分の自己責任だった。
アリババの初めてはちょっと歳上だけれど格好いい学園の理事長だった。百戦錬磨だとか噂をされているけれど、彼女がいたことがなく妻もなし、秘書の男性以外が彼の部屋にいたことはない。勿論、条件はあった。学費、寮生活費の免除。そのセックスに愛は生まなかったけれど、快楽だけがうんでいった。
けれどそれを繰り返すうちに、耐えられない心の虚しさだけが埋まらなくなった。セックスをして一瞬心の虚しさを忘れ、そのことにまた虚しくなりまた性行為に貪りつく。最悪なスパイラルに陥っている自覚は自分が一番あった。
学校を一歩出れば世界は肉欲に飢えた男がごろごろと転がっている。手当たり次第に男を捕まえて身体を埋めさせて渇いた身体を濡らした。セックスは水だ。飲んでも飲んでも時間が経てばまた飲みたくなる。そして生活のひとつだ。
快楽だけが、膿んでいった。
まずったな、とアリババは頭をかく。白龍がアリババの爛れた生活に気付いているのは知っていたけれど、それを露骨に出したことは無かった。どちらかというと白龍はアリババにその点以外はしっかり懐いているし、敬っている気さえある。だから非難口調で言われたときは八つ当たりのひとつとして黙らせてやろうと思っただけだ。非難の理由が嫉妬だとか、そんな可愛い理由だったらまた違ったのかもしれないが、白龍の言い方にはどこか軽蔑の混じるそれにも似ていて無性にかっとした。
いや、軽蔑が混じっていることは想定内だ。恐らくアリババが腹が立ったとするなら、きっとお金の下りだ。現金を払って心の虚ろを埋められるなら今アリババはこんなことにはなっていない。まだ汚いことを何も知らないのだろう白龍を見ていると、自分が悪い事をしている気分になる。いや、世間的には悪いことなのかもしれないが。
衝動に任せて白龍に本当に出だしだけの乱暴を働いた。恐怖に震える白龍を組み敷くと奇妙な程に聴覚が澄んで頭にだけとろけそうな熱が孕んだ。アリババを組み敷いた男たちはみんなこんな感じだったんだろうか。ご馳走を前にして舌舐めずるような。何もしていないのに下腹が疼いた。
白龍の肌を手のひらでなぞりながら、自分がなぞられているようで気持ちが良かった。
けれどあまりにも白龍が悲惨な声を出すからアリババはやめざるを得なかった。別に最後までやりきってしまっても良かったけれど、自分の心が傷つきそうで自衛に走っただけだ。傷つくことは慣れているがこれ以上の拒絶は流石に引きずりそうだ。
だから、次、と告げた。白龍はきっと台詞を思いつかなかっただけだろうが、それをいい事に次の約束を取り付けた。どんなに怒っていてもこういう約束を反故に出来ないのは白龍の良いところでもあり損するところでもある。
「次なあ……」
一旦部屋を出てしまったので、いつを次にするのか決め損なってしまった。もしかしたら白龍は、アリババが部屋に帰ってきた時を「次」のタイミングと受け取るかもしれない。別にアリババはそれでも良かったが、白龍のことを思うとそれだとしばらく部屋に帰れそうに無かった。計画無しの頭の緩さが知れる。アリババは自分の無鉄砲さに呆れながら食堂に向かった。
白龍が寝静まっただろう時間まであちこちで時間をつぶして(人脈だけは自信があるのでそれくらいはお茶の子さいさいだ、)アリババは部屋に戻った。
「……お帰りなさい」
眠っているだろうと予想していた人物は未だに起きてアリババの帰りを待っていた。机の上にはアリババが去年まで使っていた教科書が広げられていて、授業の予習をしていたことは伺える。白龍の目元は淵だけが赤く少し腫れぼったかった。
「さっきは、余計な事に踏み込んでごめんなさい」
まるですべて自分の落ち度だとでも言うように彼女は謝った。
「いいよ。俺もごめん」
でも、とアリババは白龍を見下ろした。白龍の服を通して少し前に目に焼き付けた裸体を透かして、アリババは目を逸らす。それが知られたくなくてわざと背を向けた。
「さっき言ったことは撤回しねえから」
白龍は小さく息を呑んだ。
「いつ……ですか」
「いつがいい?」
変なところで気遣いを出したら、白龍はスケジュール帳と睨めっこを始めたので、ああもう、と苛つきながらアリババはそれを取り上げた。
「もう今で良いよな!な!」
「えっちょっと」
「暇だろ!」
「そんな適当なものじゃいけないと思います!」
「なんでだよ、たかがセックスだぞ!しかも女同士の!」
「それでもこっちにとっては”たかが”じゃないんです!」
白龍の必死の抵抗をいなして、アリババはなんとか白龍を引きずってベッドまで引きずりこむことに成功した。
「じゃあ恋人みたいな甘ったるいセックスすればいい?」
「それは……違う気がします」
「じゃあこんなもんだよ」
アリババがTシャツを脱ぐと、白龍は目を泳がせた。
「白龍も脱がねえの?」
「はい……あ、いえ、えっと」
本当ピュアだな、と言いながらアリババは恥ずかしがったまま口ごもる白龍のシャツを持ち上げて腕を抜かせた。頬を染めて両腕で小ぶりのそれを隠そうとする白龍を抱き締める。ちょっと痛いです、と非難の声が上がったけれど、初めて挿れたときはもっと痛いからな、とアリババは無言で思った。
少し前の恐怖が残っているのか、身体は緊張でがちがちに固まっている。
「白龍、口開けて」
「……い、いやで、す」
「何だよ急に反抗的にさあ」
「だって、さっき息出来なくて」
アリババは、は?と間抜けな答えを返した。
「息?呼吸は鼻ですんだよ。そうじゃないと息苦しいだろ」
白龍の硬直したままの身体にアリババは手を掛ける。頬を包むように撫でて、親指を引き結ばれた唇の下に潜り込ませた。
「手、使ったら卑怯だからな」
あらかじめ手で抵抗しないように保険を掛けておけば、白龍は余程のことが無ければ嫌がるそぶりを見せても本気で抵抗したりはしないだろう。不快そうに白龍は異物を押し出そうと歯を浮かせ、舌で指を押し出そうとする。今その瞬間がチャンスだった。アリババはぐっと指を中に押し込んで、歯と歯の間に障害を作った。
「いてててて、噛むなよ白龍」
「らっへ、ゆふぃぬいふぇふらはい」
白龍は閉じない唇から不満を垂れ流す。
「あーうんうんそうだな」
発音は不明確でも言いたい事は分かったが、アリババはそれを流して黙々と口の中を指先で蹂躙した。
「なあ白龍知ってる?口の中ってすっげえここに似てるんだぜ」
空いているもう片方の手でちょん、と白龍の太腿をなぞった先にある下着の上から入り口をつつく。伸びた爪で快感のスイッチボタンを探すようになぞろうとしたら、足が鳩尾にめり込んだ。痛い。
「何すんだよ!」
「やれへふらはい!」
目の淵を赤くしたまま白龍は叫んだ。睨み上げてくる瞳は本気で怒っているが、どこかそれは怯えの影も隠すように揺れていた。濃紺の瞳に映るアリババはやけにどこか楽しそうで、けれど白龍のような純粋な目はしていなかった。早くに春をどうでも良い男に安売りした代償かもしれない。
「白龍さあ、こんなことでひいひい言ってたら本番どうすんだよ。俺本当にお前の中に色々突っ込むからな」
色々ってなんだよ、と自分でも呆れながらアリババは自己嫌悪に陥る。もっと良い言い回しは無かったのかよ。けれど白龍にはそれが効果的だったのか、大人しくぱかりと口を開けた。歯科検診で大きく口を開ける子供と、歯科医みたいだ。
アリババは奥歯から指先で歯列をなぞっていった。でこぼこした奥歯を越えて、犬歯。噛まれたら痕が付きそうだな、と思った。白龍は納得がいかないのか目をぎゅっと瞑ってアリババの好き放題させたままだ。
「鼻だからな、鼻」
ちゃんとご丁寧に挨拶してからアリババは白龍の唇に自分のそれを重ねる。捻じ込んだ舌で指と同じように歯列をなぞって、それから喉の奥の舌の付け根を舌先で突いた。白龍は異物感に耐え切れなくなったのかえずきながらも解放されない舌に観念して口蓋を広く開けてみせた。センスは悪くないのかもしれない。
ひゅう、と細い音がして、白龍がなんとか言われたとおりに息をしているのだと知った。
どうせ今の白龍は成されるがままでキスが気持ちの良いものだとかそんなことは微塵も思ってもいないのだろう。アリババは白龍のブラジャーを指先で軽く下げると、ほんのりと紅く色付いた乳輪を軽く指先でなぞった。人差し指の第一関節が乳首の先端を捏ねるように触れる。ん、と白龍の喉の奥でひくりと声が啼いた。
「ここは気持ちが良いところだからな、白龍」
ちゃんと教えてやらないと人はそんなこと分からないし、いつもと違う変な感覚がするだけだ。だが、予め伝えてやることでそれが快感だと信じ込み、そのうちそれが真実になる。少なくともアリババはそうだった。
指先で摘まんで弄ぶ。普段アリババが好きなされ方は白龍だって嫌いじゃないはずだ。案の定先端には熱が集まって僅かに反応を示した。
「ほら白龍、どう」
「や、いやです」
「ん?」
「なんか、へん……っ、や、やだ、んっ……」
「えええ?どこも嫌がってねえって」
鎖骨を唇で撫でて、そのままゆっくりと下に降りていく。指で弄っている方と反対の胸に辿り着いた時、アリババはそっと顔を上げた。どうだ。
白龍は怯えたような顔をしたまま、これからアリババが何をしようとしているのかくらいは分かるのだろう、やめてほしい旨を目で訴えた。
「やだよ」
まだ何も言われていなかったがアリババはそこにねっとりと舌を這わせる。ひっ、と白龍の悲鳴が上がった。色気もくそもなかったがアリババは興奮したし、女をレイプする男はこんな風に怯える女に興奮するのかもしれないと思った。
赤ん坊のようにしゃぶりつきながら舌で先端を舐めると、アリババはぶるりと身震いした。気持ちいい。白龍の細い指先がアリババの髪を掴んだ瞬間、アリババは強く肌を吸い上げた。白龍が泣きそうな声で許しを請う。アリババは震える手で白龍の腰のくびれの形を確認するように撫でた。白龍に触れると、アリババの心臓が潤っていく。いつものセックスで心が潤うのなんかよりもずっと効果がある。
「白龍すっげえかわいいのな」
女の子みたいだ。そう言ったら、白龍は変な顔をした。女の身体を借りて身体だけが楽しいことを繰り返しているアリババよりもずっと女らしい。
パンツ白だ、と言ったら白龍はひと暴れしてアリババの頭を蹴り飛ばした。足癖の悪いお嬢様だ。嫌がる白龍と格闘しながら下着をなんとか引き摺り下ろし、片足を抜いたところで白龍は抵抗する無意味さに気付いたのか、それとも今の状況で暴れると恥部が丸見えになることを恐れたのか、きゅ、と膝をきつく閉じたまま横向きに転がってしまった。
「白龍、脚開けって」
「いやです」
「先輩相手に生意気じゃねえの」
「尊敬すべき先輩はこんなことしません」
別に目的地にはこのままでも触れるから別に良いけど、と言ってアリババは白龍の閉じたままの脚の足首を掴んで上に持ち上げる。
「アリババさん!!」
流石に焦ったのか白龍は声を荒げた。
「お前どんだけ緊張してんの」
さっきあんなにひゃんひゃん言ってたのに全然濡れてねえじゃん、とアリババは熱が膿むはずのそこを指先で撫でた。
「なっ……そんなに、はしたなくない、証拠です」
もごもごと口ごもりながら白龍は呟いた。
「良いよ。どうせ俺が濡らすから」
脚を割るように両方の太腿に手を掛けて全力で引っ張る。
「ちょっ……何すんですか、あ、まっ」
アリババが僅かに空いた隙間に頭を捻じ込む。
「いずれちゃんと気持ちいいとここが濡れる様にしてやるからな」
「余計な、あっ!?やああああっ!?何、待って、アリババさ、んんぅ」
白龍は仰け反って後頭部で枕を押した。身を捩って片方の肩が浮く。突っ張った脚がぴんと指先まで伸びて、跳ね上がった瞬間に高さの低い二段ベッドの上の階の木にぶつかった。
アリババは構わずまだ軽くしか濡れていないそこに舌を這わせた。男の物を舐めるよりも不潔感も嫌悪感も無かったが、少し奇妙で、自分と同じ作りをしているそこを舌で愛撫するというのはどこかグロテスクでたまらなかった。
「気持ちいい?白龍」
変に力の入るふくらはぎの感じはアリババにも身に覚えがある。ありながら、問うた。
「そこ……、そこで喋んないで、くださ、ん……っ」
「そこ?どこ?」
舌で割れ目をなぞる。アリババの唾液とはまた違う透明な体液がとく、と溢れて頬を濡らした。白龍はびくりと震えた。
「あっ……!はいっちゃ、や、ああ、あ、なかに、はいって」
体液のぬめりを借りて舌が身体の中で熱を呻かせるそこへ入りかける。一回でも気持ちよさを覚えた白龍はどうなるのだろうとアリババは濡れるそこの少し上に位置するもうひとつの快楽のスイッチに舌を運んだ。白龍の身体が弾みをつけて仰け反るのを押さえつけて強くそこを吸ってやった。
「や、やだっ、なんか、あっ……いやあああああああああああああ!」
一瞬で白龍の体温が上がったのが分かった。白龍がアリババを引き剥がそうと手を伸ばす。その手首を掴んでなおも緩急を付けながらそこを吸い上げれば白龍の陥落は早かった。
「ほら、病みつきだろ」
虚ろな目のまま浅い息を繰り返して痙攣し続ける白龍の耳元で囁くと、彼女の呼吸が僅かに早まった。
「な、どう?」
どんなに悪趣味と言われようと、とりあえず白龍本人の口から感想が聞きたくて、なあなあ、とアリババはせっついた。
「もう、やだ……」
両腕で顔を覆って白龍はぼろぼろと泣き出した。アリババはつまらなさそうに白龍の身体の上から引き上げる。そうして彼女の横に転がった。
「他の女子だって普通にやってるぜこんなの」
「そうじゃ、ないです」
「何が」
「なんで、アリババさん知らない男の人とこういうことするんですか。アリババさんは気にしないかもしれないけど、自分は気にします。だって、こんな」
愛を伝えるみたいな行為。
白龍の言葉にアリババはがつんと殴られた様な気分になった。
「……別に、俺の勝手じゃん」
白龍が泣けないアリババの代わりみたいに大泣きするから、アリババは泣かなかった。泣かなくて済んだ。
セックスはずっと、施される側に愛があるのだと思っていた。少なくとも、アリババに施した男たちには愛は無かった。けれど、白龍はこの行為を愛のあるものだと感じ取ったのなら、それはアリババにとっては白龍が愛しいみたいだった。
「……え?」
理事室の机に腰を掛けてアリババはキャスターチェアに座る理事長を見下ろした。アラサーにしては若い風貌は人目を惹く逞しいもので、時折雑誌などにも載っているらしい彼は、金髪淫乱女子高生の身体に夢中だ。そんなゴシップがあったら飛ぶ様に売れるだろうな、とアリババは思った。
「だから、俺もうあなたとはしません」
脚を組み替えると、僅かにできた際どい隙間に男は一瞬ちらりと目線をやる。そんな情けない姿にアリババは表情一つ変えずに瞬きをする。
「それは、俺が君の生活費を全てまかなっている事を考慮した上での決心かな」
「……はい。明日も明後日も俺はもう他の男とはしないし、あなたともしない。学校もやめます。働き口ならコネがいっぱいあるしな。それだけ言いに来ました」
そうか、と男は言った。もしかしたら、とも思ったが、ただでお金を出してくれるほどに男が気前が良いわけでは無さそうな事は流石にアリババも察した。それでも構わなかった。ここで自分の生き方を変えたら今までの自分を否定するようで口惜しかったが、もう苦しいのは御免だった。水どころか塵にすらならないセックスを重ねるよりはずっとましだ。
アリババは頭を下げて理事室を出る。
ぱたんと扉をしめると、アリババは顔を上げた。にっ、と唇の端を上げる。
「泣くなよ、白龍」
扉の前で立っていた彼女は、いつもみたいにぐすぐすと目の淵を真っ赤に腫らして泣いた。
「アリババさんの、意地悪」
白龍の家が出すと言ってくれたお金を断ってアリババは学校を辞めざるを得なくなった。こうして、白龍の人生は縛られる。『自分の家のせいで倒産した家の娘は学費が足りなくて学校を中退せざるを得なくなった』。そんな背負わなくてもいい責任を背負って白龍はアリババにこれからも尽くすのだろう。それはとても小気味良くて、そしてそれと同時に最悪に後味の悪い罪悪感が残った。
一人暮らしをはじめたアリババのアパートまでやって来て、白龍は時々泊まっていく。白龍の身体に指が入るところまで回数を重ねたところで、白龍は初めてアリババに自分で触れる事を覚えた。キスをすること。肌を撫でること。舌で愛撫すること。
「いや、でもそれは無理ですって」
アリババの手に握られたそれに白龍は吐き気すら催した顔で溜息を吐いた。
「大丈夫大丈夫!俺も入ったから。入れば気持ちいいから!な!な!」
「じゃあ自分で入れてみてくださいよ!」
「いいよ」
「ほらみ……げっ」
アリババは白龍の手を掴むと自分の身体に寄せる。
「白龍慣らしてくれたら入れやすいから。な」
「な、じゃないですよなんでそんなドヤ顔してるんですか」
白龍が思い切り手を引っ込めると、ちぇっ、とアリババはわざとらしく舌打ちして白龍の横に寝転がると、自分で指でそこをほぐし始める。見ちゃいられない、と白龍は顔を背けた。
「ん……っ」
アリババの声に、ちらりと視線だけ向ける。微かに噴き出した汗の滲む額を拭ってにこりとアリババが笑うと、白龍はぷいと顔を再び背ける。
「ほら白龍、入れるぜ」
いくら女性用に改良されているとはいえやはり男性器らしい形のそれを入り口に滑らせて、アリババはそっと息を吐いた。
「んっ……ふ、は……」
はくりゅう、はくりゅう。
ぬち、と艶めかしい水音がして、「名前呼ばないでくださいよ」と白龍は呟いた。振り返ると、いつも白龍を全身全霊で翻弄する女はそこにはいなくて、全力で白龍の剥きだしの背中だけで自分を慰める情けない女が転がっていた。
「はくりゅ」
アリババはくすりと笑う。
「俺がこれでいったら次お前の番ね」
「……」
「言っとくけど、最初すっげえ痛いから」
白龍は顔を背けたまま小さく頷いた。